【 夏の贈り物 】 2009.9.2
「自分のやりたいことは自分で決めよう!」こんな言葉がけからめばえのサマーキャンプは始まります。今年は千葉県我孫子市の小学生45名、地元金山町の小学生が14名、それに学生リーダーやスタッフを加えると総勢70名を超える盛大なキャンプです。
このキャンプを始めて14年目になりますが、当初から一貫しているのは「自分のやりたいことは自分で決める」ということです。大人が用意したメニューをただ淡にこなしていくのではなく、自分のやりたい遊びを自分自身の手でつかみ取ること。そして山形の自然を体全体で感じながら遊びきることを目的としたキャンプです。
この目的を達成するために行われるのが夜の「子どもミーティング」です。このミーティングにおいて子ども達自身の手で4泊5日の全日程を決めていくのです。まずはスタッフから山、川、海、馬、町、木工、野球、釣りなどのキーワードを挙げながら山形の自然や人々の暮らしがもたらしてくれる夏の遊びを解説してから、一日を午前の部、午後の部、夜の部に分けてそれぞれのやりたい遊びを出し合っていきます。「あーでもない、こーでもない」と、すったもんだの議論の結果、一人ひとりのやりたいことを組み合わせ、かつ全体としての調整を図りながら、今年もユニークなキャンプ日程が出来上がりました。
何年も続けて来ているべテランの子や今まで来ることができなくて、お兄ちゃん、お姉ちゃんの話を聞きながら、待ちに待ってやっと来ることができた子たちはさっさと自分やりたい遊びを決めていきます。
例えば「俺は海釣りするぞーー」と意気込んでやってきた男の子は、日本海で一日中、それこそ夢中になって魚と格闘していました。いよいよ陽が傾き、用意した餌が全部無くっても「まだ釣りたい!!もっと餌買ってこよう!!」と粘る始末です。結局この子は一日置いてまた海に行き、キス、アイナメ、アジ、カレイなど小さいながらも彼なりの努力がにじみ出る釣果を上げました。帰り際、地元の漁師さんから獲れたての天然岩牡蠣を分けていただけたのは、そんな彼への「贈り物」なのでしょうか。それにしてもさすが夏の庄内浜を代表する天然岩牡蠣。日本海の旨味を丸ごと呑み込んだような磯の香りとまろやかさ。本当に「うめがっだなぁー!」
その他にも「川で遊ぶぞーー」「思いっきり野球するぞーー」「私は馬に乗りたいーー」とそれぞれの目的意識をもち、自らの遊びをつかみ取っていく子ども達の姿に、日ごろ家庭や学校で、大人の言う通りに動かされている子ども達の「怒りにも似たパワー」を感じました。
「自分のやりたいことは自分で決める」こんな当たり前のことが、今の子ども達にとって必要なことのように思えます。自分なりに考え行動してみること。その結果が例え思い描いた通りにいかなくても、取り組んでいるプロセスそのものの中に生きた学びがあるのではないでしょうか。
初めは竿をまともに扱うこともできず、隣の釣り人と糸はもつれ、何度も岩に仕掛けを取られながらも日本海と格闘し続けた彼とそれを遠目に見ながら天然岩牡蠣を分けてくれたあの漁師さんを思う時、この山形の自然とそこに根差した人々の暮らしこそ、子ども達にとってのかけがえのない「贈り物」であるように思えてくるのです。
来年のキャンプが今から楽しみです。