【 3つの心 】2006.3.2
もうすぐ年長さんは卒園ですね。不安な表情でお母さんの手をしっかりとつかんで離さなかった入園の頃が嘘のように今は自信に溢れた表情をしています。
このめばえ幼稚園で過ごした日々がきっと一人ひとりの心と体を伸びやかに育ててきたのだと思います。そして特に心の面では次の3つのことを大切にしてきました。それは「自分を大切にする心」「周りの人に感謝する心」「自然を大切にする心」です。
1.「自分を大切にする心」
人は自分自身を肯定的に受け入れることなくして、周りのいかなる人や出来事も肯定的に受け入れることはできません。まずはしっかりと自分自身を愛する心をこの幼児期に育てなくてはならないのです。しかしその子の周りにいる大人がその子を愛していなかったらその子は自分自身を愛することはできないでしょう。自分を愛するためには自分を愛してくれる大人の存在が必要なのです。こんなに愛してくれる人がいるのだから自分には生きる意味があること、自分は存在している価値があることを知るのです。
次に大切なのは、その子が夢中になれる遊び、仕事、仲間との関りです。前回の「フロー」の稿でも書きましたが、自分の内面から湧き上がる喜びや楽しさを感じることに熱中して取組む体験が自分にはいろんなことができるという自尊感情や自分の心をコントロールする力を育むのです。このような「フロー」を数多く体験することで自分が生きていている意味を自分自身の手でつかみとっていくことができるのです。従って「自分を大切にする心」をしっかりとその子の中に育てるには「周りの大人の愛とフロー体験」が大切なのです。
2.「周りの人に感謝する心」
私たちが何気なくまとっている洋服も実は多くの見知らぬ人の力によってできています。毎日食べている食べ物も寒さや熱さから守ってくれる家も様々な人の協力があって初めて得ることができます。衣食住のどれをとっても自分の力だけでは一日たりともまかなっていくことはできません。このたくさんの人のお陰で今の自分は生かされているという感謝の心を幼児期の子ども達にはしっかりと伝えていきたいと願っています。お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、弟、妹、そしてお友達や先生、いろんな人が支えてくれているから自分が生きていられることを実感して欲しいのです。
幼稚園では毎日のお祈りの時間に家族への思いやお休みしているお友達への思いを教師の言葉を通して子ども達の心の中に贈ることで確認しています。
どうかお家にあっても食事の前や夜床につく時にお子さんに人に対する感謝の心を言葉として贈ってあげて欲しいと思います。子どもはそのような言葉を喜びを持って受け取ります。そして深く静かに心の底にしまっていきます。
3.「自然を大切にする心」
人に対する感謝の心を書きました。しかし人間は人間だけで生きていくことはできません。食べることも住むことも着ることも全てが人間以外の他の生物との関りの中で成り立っています。そしてその生物の全ては地球という非常に限られた環境の中でしか生きていくことができません。だから人を大切にしたいと思うのと同じように他の生物や地球環境そのものを大切にしなければ、我々は生きていくことさえできないのです。
そのことを幼稚園の子ども達は理屈ではなく体で感じています。特に幼稚園の裏山は自然とのつながりを生活に根ざした遊びの中で子ども達に伝えてくれる絶好の場です。春のわらび採り、夏の虫捕り、秋の栗拾い、冬の雪遊び、それぞれの季節の中で味わう喜びや楽しさは同時に痛みや苦しみもあわせて子ども達に体験させてくれます。この自然体験を「フロー」を伴って積み重ねてきた子ども達は20年後大人になって責任ある仕事を任された時や自分が親になって子育てをする時にきっと自然を大切にする心を発揮してくれると信じています。幼児期に育んだ自然への愛着が20年後の環境を守り、豊かな子育てを継承することにつながると考えています。
以上、めばえ幼稚園が大切にしている3つの心を書いてきました。これから先、卒園してからの永い人生の中でいろいろな出来事が起きることでしょう。迷い悩む時もあるでしょう。でもそんな時にめばえ幼稚園で獲得したこの3つの心を思い出してもらいたいのです。みんなの心の底にしっかりと根付いているこの3つの心を。