【地金とレジリエンス】2005.8.31

 みなさん、今年の夏休みはいかがだったでしょうか?きっとお子さんと一緒に楽しい思い出をたくさん作ったことでしょう。久々に幼稚園で会った子ども達の顔も真っ黒に日焼けして、ちょっぴりたくましくなりましたね。

さぁ、これから2学期が始まります。2学期はさまざまな活動が展開される充実した期間です。新入園児も1学期を乗り切ったことで幼稚園での好きな遊びや仲良しの友達を見つけ、それぞれに安定した生活を送れるようになってくる時期です。その一方でそれまで遠慮していたそれぞれの「地金(本音)」が出てくることによって、1学期には見られなかったケンカやトラブルが出てくる時期でもあります。

入園当初、どこか「良い子」の仮面をかぶった子どもたちが、自分本来の姿を出すところから、めばえ幼稚園の本当の保育がスタートします。初めはまだ「自己中心的な主体性」の表れなので、一方的に自分の思いや考えを相手に強要する、わがままな主張で一向に構いません。大切なのは、その子の本当の姿を押さえ込むのでなく、思う存分、発揮させることなのです。そのことを、我々は「地金を出し切る」という言葉で表現しています。

実はこの過程を経ないで大きくなってしまうと問題があります。表面上はとても「良い子」大人の言うことを良く聞く素直な子なのですが、実はその子の心の中では、本当の自分自身を出すことができない、抑圧された不満が脈々と蓄積されていきます。従順の裏に恨みありです。それがある時、フッとしたきっかけで強烈な反抗として親や教師に向けられることになります。幼児期に充分に「地金を出し切る」ことが出来なかったツケがその後の成長に重大な影響を与えるのです。

幼稚園時代にそれぞれの子どもが「地金」を発揮することで、様々なケンカやトラブルが発生します。このケンカやトラブルを自分たちの問題として解決していく中で、一人一人の子どもの中に「レジリエンス(回復力・立ち直る力)」が育っていきます。「レジリエンス」とは、ケンカやトラブルでこわれてしまった人間関係を回復していく力、またはそのことで傷ついた自分自身の心を立て直していく力のことです。ですからケンカやトラブルが起きた時に「あー、困った。何とかやめさせなくちゃ。」ではなく「いいぞ、これはチャンスだ。どんな展開になるのかな。どのタイミングで出ていこうかな。」という捉え方になるのです。小さなケンカやトラブルを教師は「レジリエンス」を育てるという意図をもって見守り、その後の話し合いを大切にしているのです。逆にケンカやトラブルを大人が未然に防いでしまうと人間関係を修復させたり、継続させていく力を子ども達の中に育てていくことができなくなってしまうのです。

「レジリエンス」が育たないまま大きくなってしまうと些細ないざこざで簡単に人間関係を切ってしまったり、こわれた人間関係をどのように回復するのか分からなかったり、そもそも人と関わること自体をわずらわしいと感じるような人間になってしまいます。

めばえ幼稚園の子ども達は、お互いの「地金」をぶつけ合い、ケンカやトラブルをいくつも体験し、それらを自分たちの問題として乗り越えていく中で、やがて仲間との協力しながら、尚且つ自分自身の思いを発揮していく「仲間の中での主体性」を獲得していきます。

年長の3学期には、この「仲間の中での主体性」を遺憾なく発揮する子どもに育っていくのです。この本当の意味での「主体性」を獲得するために、私たちは「地金を出し切る」こと、そして「レジリエンスを育てる」ことを大切にしています。

めばえ幼稚園の保育は「良い子」の仮面をかぶった子どもたちが、自分本来の姿を出すところからスタートします。